美しい涙を誘うでしょう。
やわらかな風が全身を包む
まるで母の胸に抱かれたように
眩しい日の光に目をおさえる
すると目の奥に残る光の残像が
深く静まったはずの
心臓の高鳴りを感じさせてくれる
横のグランドでは
野球少年の明るい声が
懐かしいあの日々を思い出させる
いつからだろう
こんなに空が好きになったのは
いつからだろう
こんなに風が好きになったのは
いつからだろう
こんなに太陽が好きになったのは
それは
いつからでもなく
ただあの日々を思い出しているだけ
あの空になった日々を
あの風になった日々を
あの太陽になった日々を
ただあの日々を懐かしんでいるだけ
今の私には
あまりにそれが懐かしすぎて
思い出すことも忘れて
ただ空や風や太陽の祈りを
ただ愛しく感じているだけ
ただあなたと出逢う時には
その懐かしい日々の香りが
美しい涙を誘うでしょう